エンパシーとコンパッション、どっちが心に優しい？～違いを知って、もっと健やかな毎日へ～
こんにちは、ジョンです。皆さんは「エンパシー」と「コンパッション」という言葉を耳にしたことがありますか？日本語だと「共感」とか「思いやり」なんて訳されたりしますよね。どちらもなんだか似ているし、人として大切な感情のように聞こえます。でも実は、この二つにはちょっとした違いがあって、もしかすると、片方がもう片方よりも、私たちの心や体の健康にとって良い影響があるかもしれないんです。
今日は、この「エンパシー」と「コンパッション」の違い、そしてそれが私たちの心身の健康にどう関わってくるのかを、一緒にやさしく解き明かしていきましょう！
「エンパシー（共感）」ってなんだろう？
まず、「エンパシー（Empathy）」から見ていきましょう。これは、日本語でよく「共感」と訳される言葉です。簡単に言うと、相手の感情や経験を、まるで自分のことのように感じ取る能力のことです。
例えば、こんな経験はありませんか？
- 友達が悲しい顔をしていたら、自分もなんだか悲しい気持ちになる。
- 映画の主人公が困難を乗り越えて喜んでいるのを見て、自分も胸が熱くなって嬉しくなる。
これがエンパシーです。「相手の靴を履いてみる」なんて表現されることもありますね。相手の立場に立って、その人が何を感じているかを察する力と言えるでしょう。
エンパシーの良いところ：
- 相手の気持ちを深く理解できるので、人と人との絆を深めるのに役立ちます。
- 信頼関係を築きやすくなります。
- コミュニケーションが円滑になります。
エンパシーの注意点：
- 相手の感情、特にネガティブな感情（悲しみ、怒り、不安など）を強く感じ取りすぎると、自分自身もそれに引きずられて精神的に疲れてしまうことがあります。これを「共感疲労（きょうかんひろう）」と呼んだりします。誰かの苦しみに共感しすぎて、自分まで辛くなっちゃう状態ですね。例えるなら、濡れたスポンジが水を吸いすぎるようなイメージでしょうか。
じゃあ、「コンパッション（思いやり・慈悲）」は？
次に、「コンパッション（Compassion）」についてです。これは、「思いやり」や「慈悲（じひ）」と訳されることが多い言葉です。コンパッションは、相手の苦しみや困難に気づき、それを和らげたい、助けたいという温かい気持ちと、実際に行動しようとする意志を含むものです。
エンパシーが「相手の気持ちを感じる」ことに焦点があるのに対し、コンパッションはそこから一歩進んで、「その人のために何かしたい！」という具体的な行動への意欲が伴います。
コンパッションの良いところ：
- 相手を助けたいという気持ちから行動することで、相手だけでなく自分自身にもポジティブな感情（温かさ、満足感、幸福感など）をもたらすと言われています。
- 研究によると、コンパッションはエンパシーのように感情的に消耗しにくく、むしろエネルギーを与えてくれるという結果もあるんですよ。まるで、自分の中に温かい泉が湧き出てくるような感覚に近いかもしれません。
エンパシーとコンパッション、ココが違う！
ここまでの話で、なんとなく違いが見えてきたでしょうか？ ちょっと整理してみましょう。
エンパシー：「ああ、わかるよ、その気持ち…」（感情の鏡、共有がメイン）
- 相手の感情を自分のことのように感じること。
- 例：友人が仕事で失敗して落ち込んでいたら、自分も同じように気分が沈んでしまう。
コンパッション：「大変だね。何か私にできることはないかな？」（行動を促す温かい心）
- 相手の苦しみを理解し、それを和らげたいと願い、行動しようとすること。
- 例：友人が仕事で失敗して落ち込んでいたら、「大丈夫？話聞くよ」と声をかけたり、気分転換になるようなことを提案したりする。
エンパシーはコンパッションの入り口になることもありますが、必ずしもエンパシーがコンパッションにつながるとは限りません。エンパシーで相手の苦しみを感じ取っても、そこで自分も辛くなって動けなくなってしまうこともあるからです。コンパッションは、エンパシーで感じ取った情報をもとに、「じゃあ、どうしようか？」と前向きなステップに進む力と言えますね。
どっちが私たちの心と体に「より」良いの？
さて、冒頭でお話しした「片方がもう片方より健康に良いかもしれない」という点について、もう少し詳しく見ていきましょう。
専門家の間では、エンパシーだけを強く感じすぎると、先ほどお話しした「共感疲労」や、さらに進んで「バーンアウト（燃え尽き症候群）」のリスクが高まる可能性が指摘されています。バーンアウトとは、心身のエネルギーが枯渇し、無気力になってしまう状態のことです。人の痛みを感じ続けるのは、想像以上にエネルギーを消耗するんですね。
一方で、コンパッションは、私たちの心と体に良い影響を与えると考えられています。
コンパッションは、相手を助けたいというポジティブな動機から来るもので、実際に行動することで達成感や自己肯定感も得られやすいです。研究によると、コンパッションを実践することは、以下のような多くのメリットがあると言われています。
- ストレスレベルを下げる
- 幸福感を高める
- レジリエンス（困難から立ち直る力、心のしなやかさのことです）を育む
- 免疫機能を高める可能性も示唆されている
誰かのために何かをすることで、自分自身も満たされるなんて、とても素敵ですよね。これは、脳の働きとも関係があるようです。エンパシーで苦痛を感じるときと、コンパッションで温かい気持ちを感じるときでは、脳の活性化する部分が異なることが分かってきています。コンパッションは、愛情や報酬に関連する脳の領域を活性化させるため、ポジティブな感情が生まれやすいのです。
日常生活でどう活かせばいい？賢く使い分けるコツ
エンパシーもコンパッションも、どちらも人間関係において大切なものです。どちらか一方が絶対的に良い、悪いということではありません。大切なのは、この二つを理解し、バランスよく、そして賢く使い分けることです。
- まずはエンパシーで相手の気持ちに寄り添う：
相手が何を感じているのかを理解しようとすることは、コミュニケーションの基本です。「大変だったね」「辛かったね」と、まずは相手の感情を受け止めてあげましょう。 - 次にコンパッションへスイッチ：「何かできることはないか」と考える：
相手の苦しみを感じ取ったら、それに飲み込まれるのではなく、「この人のために何ができるだろう？」と一歩引いて考えてみましょう。具体的な行動が難しくても、「あなたのことを気にかけているよ」と伝えるだけでも、相手にとっては大きな支えになることがあります。また、自分にできる範囲で、無理なくサポートすることが大切です。 - そして、セルフコンパッション（自分への思いやり）も忘れずに！：
これが一番大事かもしれません！他人へ思いやりを向けるのと同じくらい、あるいはそれ以上に、自分自身にも優しくすることが大切です。セルフコンパッションとは、自分が困難な状況にあるとき、自分を批判したり責めたりするのではなく、自分に優しさや理解を示すことです。疲れたとき、失敗したとき、「よく頑張ったね」「大丈夫だよ、誰にでもあることだよ」と自分に声をかけてあげましょう。これが、共感疲労を防ぎ、他人へのコンパッションを育む土壌にもなります。
特に、医療従事者や介護職、教師、カウンセラーなど、日常的に人の苦しみや困難に触れる機会の多い方々は、エンパシーだけでなくコンパッションを意識的に育むトレーニングが、バーンアウト予防に繋がるとも言われています。
ジョンの一言
エンパシーとコンパッション、どちらも人間関係を豊かにしてくれる素敵な心の働きですよね。エンパシーで相手を深く理解しつつ、飲み込まれすぎずにコンパッションへ切り替えて温かい行動ができたら、きっともっと優しい気持ちで毎日を過ごせるんじゃないかな、なんて思いました。自分も相手も大切にできるコンパッションの力を、少しずつでも育てていきたいですね。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです：
Empathy & Compassion Are Not The Same—Here’s The Key
Difference