「AIは中立であれ!」アメリカ政府の新しいルール、でもそれって可能?
こんにちは、AI技術を分かりやすく解説するブログライターのジョンです。最近、AIに関する興味深いニュースがアメリカから飛び込んできました。なんと、アメリカ政府が使うAIに対して、「偏った考え方を持ってはいけない」というルールを定めたんです。今日はこのニュースについて、AIの知識がまったくない方にも分かるように、じっくり解説していきますね。
ホワイトハウスが発表した「AIへの命令」とは?
先日、アメリカの政治の中心であるホワイトハウスが、「大統領令」という、とても重要な命令を出しました。その内容は、政府機関で使われるAIモデルに対して、守るべきルールを定めたというものです。
では、そのルールとは何でしょうか?命令書には、主に2つのことが書かれています。
- AIは「真実」であること
- AIは「思想的に中立」であること
「思想的に中立」というのは、特定の政治的な考え方、例えば右寄りや左寄りといった立場に偏らず、公平な立場でなければならない、ということです。政府が国民のために使うAIが、特定の意見を押し付けるようなことがあっては困る、というわけですね。これは一見、とても当たり前のことのように聞こえます。
大きな疑問:AIは本当に「中立」や「真実」を理解できるのか?
しかし、ここで大きな問題が浮かび上がります。それは、「そもそもAIは、人間のように『真実』や『中立』を理解できるのか?」という点です。
このニュースを報じた元の記事には、とても重要な一文が書かれていました。それは、「AIは、その訓練(学習)に基づいて一貫性を強制することしかできない」というものです。ちょっと難しい言葉なので、かみ砕いてみましょう。
皆さんがよくご存知のChatGPTのような対話型AIは、LLM(大規模言語モデル)という技術を基盤にしています。このLLMは、インターネット上の膨大な文章や書籍といったデータを「学習」することで、言葉と言葉のつながりのパターンを覚えます。人間のように「これは正しい、これは間違っている」と意味を理解しているわけではなく、あくまで「こういう質問には、こういう答え方が統計的に最もらしい」という確率で文章を生成しているのです。
つまり、AIの回答が「真実」かどうか、「中立」かどうかは、元になった学習データに何が含まれていたかに完全に依存してしまう、ということになります。
もし学習データに偏った情報がたくさん含まれていれば、AIの回答も自然と偏ったものになります。AI自身には、その偏りを「悪いことだ」と判断する能力はないのです。
今回のニュースが意味すること
今回のホワイトハウスの命令は、私たちにAIの重要な課題を突きつけています。
- 理想と現実のギャップ: 政府はAIに「真実」と「中立性」を求めていますが、現在のAI技術の仕組みでは、それを保証するのは非常に難しいのが現実です。
- 学習データの大切さ: AIの性能や性格は、その「育ての親」である学習データによって決まります。偏りのないAIを作るためには、偏りのないデータが必要不可欠ですが、そもそも「完全に中立なデータ」とは何なのか、という哲学的な問いにもつながります。
政府がAIに特定の品質を求めること自体は、AIを安全に社会で活用していく上でとても大切な一歩です。しかし、その要求を技術的にどうやって実現していくのか、これから大きな挑戦が待っていると言えるでしょう。
筆者のひとこと
今回のニュースは、私たちがAIに「こうあってほしい」と願う理想と、現在のAI技術ができることの間に、まだ大きな隔たりがあることを示しているように感じます。AIが何を語るかは、結局のところ、それを作って使う私たち人間の責任なのだと、改めて考えさせられますね。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
White House bans ‘woke’ AI, but LLMs don’t know the
truth