マイホームが遠い夢に?住宅市場の「貴族」と「平民」のお話
「いつかは自分の家が欲しいな…」そう思っている方は多いかもしれませんね。でも最近、「家を買うのがすごく難しくなった」と感じませんか?実は今、住宅市場では、すでに家を持っている人と、これから買おうとしている人の間に、大きな格差が生まれています。まるで「貴族」と「平民」のようだ、と指摘する専門家もいるほどです。
今回は、なぜこんな状況になっているのか、その背景を分かりやすく解説していきます。
理由1:驚くほど高くなった住宅価格
まず、そもそもの家の値段がとても高くなっています。数年前と比べて、住宅の平均的な価格は大きく上昇しました。例えば、アメリカの住宅価格の中央値は40万ドル(日本円で約6000万円以上※)を超えるほどです。とてもシンプルな理由ですが、これが最初の大きなハードルになっています。
※1ドル150円で換算した場合
理由2:住宅ローン金利の急上昇
もう一つの大きな理由が、住宅ローン金利の上昇です。
住宅ローン金利とは、家を買うためにお金を借りるときにかかる「手数料」や「レンタル料」のようなもの。この金利が低いほど、毎月の返済額は少なくて済みます。数年前までは、この金利が3%以下と、とても低い水準でした。ところが最近では、7%を超えることも珍しくなくなっています。
この「住宅価格の高騰」と「金利の上昇」という2つのパンチが、今の住宅購入を非常に困難にしているのです。
「貴族」と「平民」の残酷な差:具体的な数字で見てみよう
この状況が、どれだけ大きな差を生んでいるのか、具体的な例で見てみましょう。
- 数年前に家を買ったAさん(住宅貴族)
・購入価格:25万ドル
・住宅ローン金利:3%
・毎月の返済額:約1,050ドル - 今、家を買おうとしているBさん(住宅平民)
・購入価格:40万ドル
・住宅ローン金利:7%
・毎月の返済額:約2,660ドル
見てください。Bさんの毎月の返済額は、Aさんの2.5倍以上にもなっています。同じ「家を持つ」という目的なのに、タイミングが違うだけで、これほどの負担の差が生まれてしまうのです。
「ロックイン効果」が市場をさらに厳しくする
この状況は、別の問題も引き起こしています。それが「ロックイン効果」です。
これは、すでに低い金利でローンを組んでいるAさんのような人たちが、「今もし家を売って新しい家を買ったら、次は高い金利でローンを組むことになる…それなら今の家に住み続けよう」と考えて、家を売るのをやめてしまう現象です。
その結果、市場に出回る中古住宅の数が減ってしまいます。家を買いたい人はたくさんいるのに、売りに出される家が少ない。これもまた、住宅価格がなかなか下がらない一因となっています。
広がり続ける資産格差
家は、ただ住む場所というだけでなく、多くの人にとって最大の資産(財産のこと)でもあります。
家を持っている人たちは、この数年で住宅価格が上がったおかげで、自分たちの資産価値も大きく増えました。一方で、家を持てずに家賃を払い続けている人たちは、この資産増加の恩恵を受けられません。資産の面でも格差はどんどん広がっていくのです。
筆者のひとこと
この記事を読んで、住宅のような大きな買い物は、買うタイミングによってこれほどまでに状況が変わってしまうのかと、改めて痛感しました。まるで、経済のルール自体が変わってしまったかのようです。特に若い世代にとっては、かなり厳しい現実だと感じます。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
Housing Market Nobility