こんにちは!Web3やメタバースの動向をウォッチしているブロガーのJonです。
最近、X(旧Twitter)のタイムラインを見ていると、Web3の世界で「インド」という国の存在感が急速に増しているのを感じませんか? 「開発者が多いらしい」「巨大な市場だ」といった話は以前からありましたが、ここに来て世界中の大手プレイヤーたちが本格的にインド市場へ熱い視線を送り始めています。
その象徴的なニュースとして、今回は大手暗号資産取引所MEXCのベンチャーキャピタル(VC)部門である「MEXC Ventures」が、インド最高峰のイノベーションフェスティバルで開催されるWeb3サミットを支援するという話題を取り上げます。
この記事を読めば、なぜ今、世界がインドに注目するのか、その背景にある「過去」「現在」「未来」のストーリーがきっと理解できるはずです。それでは、さっそく深掘りしていきましょう!
インドの頭脳が集結!「W3K Web3 Summit」とは?
今回のニュースの中心となっているのが、「W3K Web3 Summit」というイベントです。まずは、このサミットがどのようなものなのかを見ていきましょう。
インド工科大学(IIT)が主催する最高峰の祭典
W3Kサミットは、単独で開催されるイベントではありません。インドで最も権威のある工科大学の一つ、インド工科大学カーンプル校(IIT Kanpur)が毎年開催しているアジア最大級の技術・起業家フェスティバル「Techkriti」の中で行われる、Web3に特化したカンファレンスです。
Techkritiは、世界中から優秀な学生や専門家、起業家が集まり、最新技術やビジネスアイデアを競い合う場で、その歴史は1995年まで遡ります。いわば、インドの未来を担うエリートたちが集結するイノベーションの祭典なのです。そんな権威ある場でWeb3サミットが開催されること自体が、インドにおけるWeb3技術への期待の高さを示しています。
Web3エコシステムを繋ぐ架け橋「W3K」
「W3K」という名前は「Web3 an anKriti」を意味し、その目的はインドのWeb3エコシステム(開発者、起業家、投資家、ユーザーなどが相互に関わり合う生態系)を構築し、グローバルな機会と繋げることにあります。
具体的には、以下のような活動を通じて、インドのWeb3普及を加速させることを目指しています。
- Web3に関する教育的なワークショップや講演
- 有望なWeb3スタートアップのピッチコンテスト
- 開発者、投資家、企業間のネットワーキング機会の創出
ここに、世界的な暗号資産取引所であるMEXCのVC部門「MEXC Ventures」がタイトルスポンサーとして参加を表明しました。これは、単なる資金提供以上の意味を持ちます。グローバルな投資家が、インドの次世代Web3タレントの発掘に本腰を入れ始めた、という明確なシグナルなのです。
なぜ世界はインドに注目するのか?その3つの理由
MEXC Venturesがインドに注目する理由は、決して特別なものではありません。今や世界の多くのVCやWeb3プロジェクトが、同じようにインドのポテンシャルに気づき、動き出しています。その背景を「過去」「現在」「未来」の視点から紐解いてみましょう。
理由1:【過去からの変化】不確実性から「規制下の成長」フェーズへ
当初は、インド政府の暗号資産に対するスタンスは非常に厳格で、一時は全面的な禁止も噂されるなど、市場には大きな不確実性が漂っていました。多くの投資家や企業が、インド市場への参入に二の足を踏んでいたのが実情です。
しかし最近では、その風向きが大きく変わってきています。インド政府は、2023年に議長国を務めたG20サミットにおいて、暗号資産に対する国際的な規制の枠組み作りを主導しました。これは、暗号資産を一方的に禁止するのではなく、「管理・監督下に置くべき対象」として正式に認識したことを意味します。
もちろん、暗号資産の利益に対して30%という高い税率を課すなど、厳しい側面は残っています。ですが、「ルールが全くない状態」から「明確なルールの下で事業展開できる状態」へと移行しつつあることは、長期的な視点でビジネスを展開したい企業にとっては大きな前進なのです。
理由2:【現在の強み】世界最大級のWeb3開発者コミュニティ
インドの最大の武器は、何と言ってもその「人材」です。特にIT分野における優秀なエンジニアの豊富さは、世界的に知られています。
インドのIT業界団体NASSCOMが発表したレポートによると、2023年時点でインドには世界のWeb3開発者の約11%が存在し、米国、中国に次ぐ世界第3位の開発者大国となっています。その成長率は世界でもトップクラスであり、このままいけば数年以内に世界一になる可能性も指摘されています。
この豊富な開発者プールは、新しいWeb3プロジェクトやアプリケーションが生まれる土壌そのものです。実際に、世界で広く使われているブロックチェーンプラットフォームの一つである「Polygon(ポリゴン)」も、インド出身の起業家たちによって設立されました。Polygonの成功は、インドの技術力と起業家精神が世界レベルであることを証明し、多くの後進たちに夢を与えています。
理由3:【未来への期待】14億人の巨大市場とデジタルネイティブ世代
インドは14億人を超える人口を抱え、中国を抜いて世界一の人口大国となりました。さらに、その人口の半分以上が25歳以下という、非常に若い国でもあります。
安価なデータ通信プランの普及により、スマートフォンの利用者は爆発的に増加しており、多くの若者がデジタルサービスに慣れ親しんでいます。この巨大なデジタルネイティブ市場は、Web3サービス、特にGameFi(ゲームをして稼ぐ)やSocialFi(SNS活動で稼ぐ)、NFT(非代替性トークン)といった分野にとって、計り知れないポテンシャルを秘めています。
MEXC Venturesのような投資家たちは、この巨大市場で次世代の「ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)」が生まれることを期待しています。W3Kサミットのようなイベントを支援することは、そうしたダイヤの原石を早期に発見するための、戦略的な一手なのです。
インドWeb3エコシステムのこれから
では、インドのWeb3エコシステムは今後どのように発展していくのでしょうか。予想される展開と課題を見ていきましょう。
予想される展開:世界の「Web3イノベーションハブ」へ
これまでのインドは、豊富な人材を背景に、欧米企業の開発業務を請け負う「世界のバックオフィス」としての役割を担う側面が強くありました。
今後は、Polygonの成功事例に続き、インド発のオリジナルなWeb3プロジェクトが次々と生まれてくるでしょう。国内の巨大市場をターゲットにしたサービスはもちろん、インドで生まれたサービスが世界基準となる「インド発、グローバル行き」のモデルが増えていくと予想されます。VCからの資金流入が活発化することで、この動きはさらに加速するはずです。
残された課題:規制のさらなる明確化
一方で、課題も残されています。前述の通り、税制は整備されたものの、Web3の各分野(DeFi、DAOなど)に関する法的な位置づけは、まだ完全にクリアになったわけではありません。
Looking ahead(今後の見通し)としては、政府がイノベーションを阻害しない形で、投資家とユーザーを保護するバランスの取れた規制をいかに早く整備できるかが鍵となります。規制環境がより明確になれば、機関投資家など、さらに大きな資本が安心して市場に参入できるようになり、エコシステムは一層の飛躍を遂げるでしょう。
今回のMEXC VenturesによるW3Kサミットへの支援は、インドのWeb3市場が黎明期を終え、本格的な成長期へと突入したことを示す象徴的な出来事だと感じています。豊富なIT人材と巨大な若者市場という二つの強力なエンジンを武器に、インドがこれからWeb3の世界地図をどう塗り替えていくのか。一人のウォッチャーとして、その動向から目が離せませんね!
この記事は、以下の公開情報を参照し、筆者がファクトチェックのうえで構成したものです:
- MEXC Ventures Supports W3K Web3 Summit At India’s Premier Innovation Festival
- W3K – Web3 an anKriti by Techkriti, IIT Kanpur
- Techkriti’24 | IIT Kanpur
- India’s Web3 Landscape- A primer | nasscom
- India remains a Web3 hotspot despite bear market and strict taxes: Report
- India to Propose Global Framework for Crypto at G20