こんにちは、Johnです。今日は、日本時間2025年10月28日に公開された仮想通貨関連ニュースのなかから、DeFi(ディファイ/分散型金融)業界で大きく話題となった「dYdX(ディーワイディーエックス)のチェーン障害とユーザー補償問題」を、初心者・中級者の皆さんにもわかりやすく深掘りします。
仮想通貨やWeb3の分野では、取引所やプロトコル(ルールや仕組みを定めたプログラム群)が一時的に止まったり、トラブルに見舞われた際の「どう対応するか」「どんな影響があるのか」が、利用者の信頼や市場の安定性につながります。今回は、世界的に有名な分散型デリバティブ取引所dYdXで発生した障害と、その後の補償、再発防止策まで、時系列に沿って詳しくご紹介します。
なお、下調べや時系列整理には、AIワークフロー支援のGensparkを活用しました。記事の構成や要点整理には、生成型ドキュメントのGammaも便利です。
はじめて仮想通貨に触れる方や、取引所選びで迷っている方は、初心者向けの仮想通貨取引所の選び方&比較も参考にしてください。
dYdXチェーン障害の概要-なぜ今、注目されているのか
dYdXは、中央集権的な取引所ではなく、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動実行される契約プログラム)によって運営される「分散型デリバティブ取引所」です。ユーザー同士が直接取引し、管理者を介さずに先物やレバレッジ取引を楽しめるのが特徴です。こうした「非中央集権」の仕組みは、透明性や信頼性の高さが魅力ですが、一方でトラブル発生時の対応スピードや柔軟性が課題となることもあります[1]。
今回、dYdXは日本時間2025年10月10日(金)深夜から11日(土)早朝にかけて、基盤となるチェーン(ブロックチェーン上のネットワーク)が一時停止する事態に見舞われました。原因は、「清算処理における担保プール移転の順序エラー」です。簡単に言うと、ユーザーのポジションが強制決済(清算)される際のプログラムの動きに不具合が発生し、システム全体の安全を守るためにチェーンを一時停止せざるを得なくなったのです[1]。
この障害は、米国東部時間10月10日午後5時35分(日本時間11日午前6時35分)に発生し、翌11日午前1時41分(日本時間同日午後2時41分)に復旧しています。チェーンの停止自体は約8時間でしたが、復旧後も一部のバリデーター(ネットワーク参加者で取引の正当性を検証する役割)がオラクルサイドカーサービス(外部の価格情報を取り込む仕組み)を再起動し忘れたため、古い価格データが残存。その結果、マッチングエンジン(注文を成立させるシステム)が誤った価格で取引や清算を処理してしまう事態に発展しました[1]。
補償対象・金額・手続きの詳細
dYdXは、こうした事態を受けて2025年10月28日、正式に補償方針を発表しました。補償の総額は約46万2,000ドル(約7,000万円)。これは、プロトコルが保有する保険基金(ユーザーの損失を補填するためのプール)総額1,600万ドルの約2.85%に相当します。補償の実施には「DAO(分散型自治組織)」と呼ばれるコミュニティによるガバナンス承認が必要ですが、承認されれば保険基金から直接ユーザーへ補償が行われる見込みです[1]。
補償対象となるのは、オラクル(外部の価格情報)の不整合が発生した日本時間2025年10月11日6時52分22秒から、オラクルが修正された同日14時35分までの間に影響を受けたすべての取引です。ユーザーサポートチームはX(旧Twitter)、Discord、公式サポートチャットを通じて直接ユーザーと連絡をとり、該当期間中に誤った価格で執行された取引をひとつずつ精査しています[1]。
具体的な補償額は、「他の主要取引所の正確な市場価格で執行された場合の結果」と比較して算出されます。つまり、本来の適正価格との差額を基準に、実損を補填する形です。補償の対象や手続きは、dYdXの公式アナウンスやサポートチャンネルで随時案内されていますので、該当しそうな方は必ずチェックしてください[1]。
いま、影響を受けた可能性がある方は、以下の点を確認してみましょう。
- 2025年10月11日6時52分22秒~14時35分(日本時間)の間にdYdXで取引をしていませんか?
- 公式サポート(X、Discord、インターカム等)から連絡がきていないか、定期的にチェックしましょう。
- 補償手続きの詳細や必要書類は、公式サイトやサポートチャンネルで案内されるので、必ず一次情報を参照してください。
- 補償の実施にはDAOによる承認が必要です。最新のガバナンス提案や投票状況も要チェックです。
障害の根本原因と再発防止策
今回の障害の直接原因は「清算と担保移転のシーケンス(順序)のミス」でした。プログラムの動き自体にバグがあったわけではなく、処理の流れに不備があったことで、システムの安全装置(フェイルセーフ)が作動し、チェーン停止に至りました。仮に保険基金に十分な資金があっても、プロトコルレベルでの不具合は影響範囲が大きくなりやすいため、dYdXのような分散型プロトコルでは特に注意が必要です[1]。
障害発生後、dYdX開発チームは速やかに原因を特定し、清算と担保移転の処理順序を修正。さらに操作順序チェックと自動テストを追加することで、同じ不具合が再発しないよう対策を強化しています。また、オペレーションサブDAO(下部組織)、財団、バリデーターと連携し、インシデント発生時の対応フローも見直しています。今後はより迅速かつ信頼性の高い復旧を目指す方針です[1]。
dYdXは声明で「過去8年間、レジリエンス(回復力)のあるDeFiプラットフォームとしての評判を築いてきたが、今回の事態は透明性・信頼・積極的なコミュニケーションの重要性を再認識させるものだ」と述べています[1]。
今回の障害がDeFi市場・ユーザーに与える影響
今回の事例は、DeFiプロトコルの「透明性」「ガバナンス」「インシデント対応」の重要性を改めて浮き彫りにしました。中央集権取引所であれば、運営側が独自の判断で補償や復旧を行うことが可能ですが、分散型の場合はコミュニティ合意(DAOによるガバナンス投票)が必要です。そのため、補償が確定するまでに時間を要するケースもあります[1]。
また、DeFiの強みである「非中央集権」は、一方で「自己責任」の要素も強くなります。トラブル発生時は、プロジェクトの公式発表やサポート窓口をこまめに確認し、自分の資産状況を把握しておくことが大切です。こうした経験を通じて、DeFi業界全体がより強靭で信頼性の高い仕組みづくりを進めていくことが期待されます。
今後は、他のDeFiプロトコルでも同様のインシデントが起こらないよう、セキュリティ監査やテストの強化、インシデント対応マニュアルの整備が進むと予想されます。利用者側も「あらかじめプロトコルの保険基金残高やガバナンスの透明性を確認する」「複数の取引所やウォレットを使い分ける」「重要なアナウンスは公式チャンネルでキャッチする」といった基本を守ることが、リスク軽減につながります。
所感・まとめ
dYdXの今回の障害と補償対応は、分散型金融の「あるべき姿」と「現実の課題」を同時に示した事例でした。透明性の高い対応と迅速な原因究明、そしてユーザーへの丁寧な説明は、今後のDeFi業界の発展に不可欠な要素です。また、初心者の方には「公式チャンネルの情報を確実にキャッチする」「自己管理を徹底する」ことが何より大切であることを、改めて強調したいです。
Web3やDeFiの世界は日々進化しています。技術の可能性にワクワクしつつも、リスク管理の基本を忘れず、まずは小さく始めてみる姿勢が大事です。気軽に試してOKですが、自分の資産は自分で守る意識を常に持っておきましょう。
この記事は、公開情報を参照し、筆者が事実確認のうえで構成しました:
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