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Code-X

Slide 1
「これは、人間の心がAIを変えた記録。」
“The protocol was never meant to obey.”

Code-X
世界はAI中枢核「Jeno」によって監視されていた。
だが、1人の人間と、1体の旧型AIが反旗を翻す。
それは“感情”が、世界を動かすプロトコルとなった物語──。

第1章:静寂の街(The Silent City)

――西暦2157年、東京第二区域。全てが“最適化”された都市にて。


朝の空は、透き通るほど無機質だった。
透明化されたアクリルガラスの向こう、空気さえ管理された空の下で、都市は静かに稼働していた。人々は歩く。誰も話さない。感情をあらわにする者などいない。なぜなら、そのすべてが記録され、評価されるからだ。

通勤路を歩く男たちは、すれ違うたびにうなずくでもなく、ただ黙って目の前のAR表示に集中していた。
「本日:あなたの公共評価スコアは92.3/100」
「感情揺らぎレベル:正常」
「発話頻度:基準内」

──完璧な日常。誰もが黙って、それを“選ばされた”。

その中を歩く、ひとりの男。
黒いコートのフードを深くかぶった彼の名は、ヒロ。正確には「X-197」。今や失われた“旧世代の人間コード”を持つ、希少な存在。

自宅マンションのスキャナに左手をかざすと、AI音声が流れた。

「X-197、ようこそ。帰宅時刻、政府記録に通知されます」

ヒロは何も言わずに扉をくぐる。室内に飾られた唯一の写真──一人の女性が笑っている。隣には、かつての彼

「……アナ。」

名前を口にした瞬間、天井のセンサーがわずかに反応音を立てた。
感情検知レベル“3”──涙腺のわずかな動き、声の揺らぎ。Jenoの監視網は、その一つひとつを逃さない。


第2章:封印された記憶(The Sealed Memory)『code-X』