Solidityを用いたEthereumスマートコントラクトで構築する簡易DAO
目次
はじめに
Ethereumのスマートコントラクト開発に最適な言語「Solidity」を用いたDAO (Decentralized Autonomous Organization) 構築の基礎を学ぶことができる、東京大学の「ブロックチェーンイノベーション寄付課程」の內容を解説します。
DAOは自立分散型組織であり、ブロックチェーンを橋上に設計された非中央集中の意思決定システムです。このシステムを実装するための基礎技術を、実際のコントラクト開発を通じて学ぶことができます。
Solidityで実現するDAO構築
DAOの構築フロー
- 開発環境の構築 Solidity開発には「Foundry」や「Visual Studio Code」が推奨されます。これらのツールを用いて、開発環境を整備します。
- 基本構造の実装 このDAOでは、次のような基本フローで構築されます。
- Propose (提案): DAOメンバーが新しい提案を展開するための機能。
- Vote (投票): 提案に対してYes/の投票を行う機能。
- Tally (集計): 投票結果を多数決で集計します。
- Execute (実行): 提案が可決された場合に実行する機能。
- Meta Contractの実装 Meta Contractのフレームワークを用いることで、DAO開発におけるデータ構造の簡素化やデプロイ効率の向上を実現します。
- データ構造とステート遷移の設計
- ER図: 提案データ構造を形容化したモデルを作成。
- 状態遷移図: DAOの一連の動作流れを解析し、要素状態をマッピング。
技術的解説
スマートコントラクト構造
DAOは下記の構造に基づいて実装されます:
- GlobalState: 提案と投票の状態を管理するデータ構造。
- Proposal: 提案の詳細情報。
- 提案者、開始時間、投票結果などを含む。
- Vote: 個別の投票情報を格納。
DAOの状態遷移
DAOの活動は、以下の状態遷移を通じて行われます:
- 初期状態: 提案が行われていない状態。
- 提案の提出: DAOメンバーが提案を提出。
- 投票状態: 提案に対して投票が行われる。
- 実行可能状態: 提案が可決された状態。
テストとデプロイプロセス
DAO開発後は、テストとネットワークへのデプロイが必要です。
- テストの基本: 自動テストを通じてバグを発見し、正常動作を確保します。
- Foundryを用いたファジーテストや組み合わせテスト。
- デプロイの流れ: ローカルネットワークにデプロイし、テストネットや本番環境で動作を確認する。
- Meta Contract DevKitの利用: Meta Contractの基本操作を用い、コントラクトの簡易なデプロイを実現する。
- mc.init(): 新しいバンドルを用意する
- mc.use(): バンドルに機能を登録
- mc.deploy(): デプロイ用情報のコンパイルを実行
技術用語解説
- DAO (Decentralized Autonomous Organization): 自立分散型組織。
- Solidity: Ethereumのスマートコントラクト開発用プログラミング言語。
- Foundry: Solidity開発のためのフレームワーク。
- TDD (Test-Driven Development): テスト駆動開発。
- Meta Contract: コントラクトを簡素化し、データ構造の精密な管理を実現するフレームワーク。
DAO開発はWeb3の主要分野であり、将来性に充ちた分野です。この記事を通じて、DAOに興味を持った方が開発に挑戦するためのインスピレーションとなれば幸いです。