AIは「賢いふり」が得意?ChatGPTみたいなAIの本当の賢さと、これからの話
こんにちは、AI技術について分かりやすくお伝えするジョンです。最近、ChatGPTをはじめとする「おしゃべりAI」がすごい勢いで進化していますよね。「まるで人間みたいに会話できる!」って驚いている人も多いんじゃないでしょうか。でも、実はこのAIたち、本当に「考えて」話しているんでしょうか? もしかしたら、とっても賢い「ふり」をしているだけかもしれません。
今日は、そんなAIの「賢さ」のヒミツと、AIがもっともっと賢くなるための新しいアイデアについて、専門知識がない方にも分かりやすくお話ししますね!
おしゃべりAI「LLM」って、本当は何が得意なの?
まず、ChatGPTみたいなAIは「LLM(エルエルエム:Large Language Models、大規模言語モデル)」と呼ばれています。簡単に言うと、「たくさんの文章を読んで、次に来そうな言葉を予測するのが得意なAI」のこと。例えば、「今日はいい天気だから…」と入力したら、「ピクニックに行こう!」とか「洗濯物がよく乾きそうだね」みたいに、自然な続きの言葉を返してくれます。
最近では、OpenAI社の「oシリーズ」とか、中国のDeepSeek社が出した「R1」みたいに、「LLMもついに『考える力(推論)』を持った!」なんてニュースも出てきました。でも、専門家の中には「いやいや、それはまだ本当の意味での『考える力』じゃないよ。あくまで高度な文章予測に、ちょっと便利な機能がくっついたものだ」って言う人もいるんです。
しかも、AIの開発競争はとっても激しくて、どんどん安くて高性能なモデルが登場しています。「え、そんなに安く作れるの!?」って驚くようなものまで出てきて、AI業界はまさに戦国時代。でもね、本当に大切なのは値段だけじゃないんです。LLMが抱えている根本的な問題が解決されないまま進んでしまうと、ちょっと心配な未来が待っているかもしれません。
LLMだけだと、ちょっと困る?AIの「弱点」とは
どんなにLLMが進化しても、まだ解決できていない問題がいくつかあります。その中でも特に有名なのが「ハルシネーション」。これは、AIがもっともらしい嘘をついちゃう現象のこと。例えば、歴史上の人物について質問したら、実際には言っていないことを言ったかのように語ったりするんです。困っちゃいますよね。
他にも、LLMにはこんな弱点があります。
- 情報が古くなりがち:LLMは、学習した時点までの情報しか持っていません。だから、新しいニュースや出来事については答えられないことがあるんです。そして、再学習させるのは時間もお金もかかって大変なんです。
- 「なぜそう答えたの?」が分かりにくい:LLMが出した答えの根拠が、人間には理解しにくいことがあります。「なぜこの答えになったの?」と聞いても、明確な理由を説明できないことがあるんですね。
例えば、こんな場面を想像してみてください。
- 金融詐欺のチェック:「この取引、怪しいですか?」とLLMに聞いたら、「はい、過去の詐欺パターンに似ています」と答えるかもしれません。でも、LLMは口座間の複雑な関係や、隠された不正な取引の流れを本当に理解しているわけではありません。ただ、過去のデータから「それっぽい」答えを返しているだけなんです。
- お薬の組み合わせの判断:新しいお薬の組み合わせについてLLMに意見を求めたとします。「この組み合わせで効果が30%アップしました」なんて答えが返ってきたら、鵜呑みにしちゃいそうですよね。でも、もし重大な副作用が見落とされていたり、そもそもその臨床試験が一緒に行われたものではなかったりしたら…大変なことになりかねません。
- サイバー攻撃への対応:会社のセキュリティ担当者が「ネットワークに不正アクセスがあったんだけど、どうすればいい?」とLLMに相談したとします。LLMはもっともらしい対策案を出してくるかもしれませんが、それが自社のシステム構成や最新の脅威情報、守るべきルールに合っているとは限りません。AIのアドバイスをそのまま信じてしまうと、かえって危険な状況を招く可能性も…。
- 会社の将来のリスク予測:「来年、うちの会社にとって一番大きな経済的リスクは何ですか?」とLLMに尋ねたとしましょう。LLMは過去の経済危機のデータから何か答えるかもしれませんが、リアルタイムの経済の動きや新しい法律、業界特有のリスクまでは把握していません。会社内部の最新情報も持っていませんから、その答えは「それっぽい推測」の域を出ないかもしれません。
こんな風に、LLMが自信満々に答えても、それが本当に正しくて、状況に合っているのかは慎重に判断する必要があるんです。特に、人の命や会社の大事な情報に関わるような場面では、LLMだけに頼るのはちょっと怖いですよね。
そこで登場!救世主「ナレッジグラフ」って一体何?
「じゃあ、LLMはもうダメなの?」って思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません! LLMの弱点を補って、もっと賢くするための強力な助っ人がいるんです。それが「ナレッジグラフ」です。
ナレッジグラフって聞くと難しそうですが、簡単に言うと「情報と情報の『つながり』を整理して、分かりやすく記録したもの」です。例えば、「ジョンはAIブログを書いている」「AIブログは初心者向けだ」みたいな情報を、線でつないで図にしたようなイメージ。家系図なんかも、人と人の関係性を記録したナレッジグラフの一種と言えますね。
LLMは「言葉」を操るのが得意ですが、ナレッジグラフは物事の「関係性」や「構造」を捉えるのが得意。この二つを組み合わせることで、AIはもっと賢く、もっと信頼できるようになるんです!
LLMとナレッジグラフがタッグを組むと、何がすごいの?
LLMとナレッジグラフを組み合わせる技術の一つに、「RAG(ラグ:Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)」というものがあります。これは、LLMが答えを出す前に、まずナレッジグラフの中から関連する正確な情報を探し出してきて、それを参考にしながら答えを生成する仕組みです。まるで、LLMが賢い「カンニングペーパー(ナレッジグラフ)」を見ながら答えるイメージですね。
この組み合わせには、こんなメリットがあります。
- より正確で信頼できる答え:LLMのフワッとした知識に、ナレッジグラフの「事実に基づいた情報」が加わるので、ハルシネーションを減らし、より正確な答えが期待できます。
- 最新情報にも対応しやすい:新しい情報が出てきたら、LLM全体を再学習させる代わりに、ナレッジグラフの方を更新すればOK。これなら、LLMを常に最新の状態に保ちやすくなります。
- 「なぜ?」が分かりやすくなる:LLMがナレッジグラフのどの情報を参考にしたのかが分かれば、「なぜこの答えになったのか」という根拠を追いやすくなります。
- 会社の秘密情報も安心:ナレッジグラフは、社内の閉じたネットワーク(企業の閉じた情報空間、社内ネットワークのことです)の中で管理できるので、大切な情報が外部に漏れる心配も減ります。
例えば、先ほどの「うちの会社のAWSアカウント(Amazonが提供するクラウドサービスのことです)にあるサーバーは何台?」という質問。LLMだけだと「数を数えるんですね」と抽象的に理解するかもしれません。でも、ナレッジグラフと連携していれば、社内のサーバー構成が記録されたデータベース(情報を整理して保存しておく箱のようなものです)を参照して、「〇〇台です」と正確な数を答えることができるようになるんです。
まとめ:AIの未来は「賢い組み合わせ」がカギ!
最近のAIの進化は目覚ましいものがありますが、LLM単体で「人間みたいになんでもできるAI(AGI:汎用人工知能)」を目指すのは、まだちょっと難しい道のりのようです。それよりも、LLMの得意なことと、ナレッジグラフのような他の技術の得意なことを上手に組み合わせて、それぞれの弱点を補い合う方が、より現実的で、私たちの生活や仕事に役立つAIが生まれてくるんじゃないでしょうか。
まるで、大工さんがノコギリや金槌、カンナといった道具を使い分けるように、AIも様々な技術を「賢く組み合わせて使う」時代が来ているのかもしれませんね。
僕自身、AIがこれからどんな風に進化していくのか、そして私たちの生活をどう変えていくのか、とても楽しみにしています。特に、LLMとナレッジグラフのような「得意技」の違うAI技術が手を取り合うことで、これまで解決できなかった難しい問題にも答えが見つかるようになるんじゃないかとワクワクしています。AIの可能性は、まだまだ広がりそうですね!
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
LLMs aren’t enough for real-world, real-time
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