AIの無断学習を防ぐ「盾」、早くも「矛」に破られる?最新研究が示すいたちごっこ
こんにちは、AI解説ブロガーのジョンです!
皆さんは、自分の描いたイラストや撮った写真が、知らないうちにAIの学習に使われたら…と考えたことはありますか?特にクリエイターの方々にとっては、自分の作品が意図しない形で利用されるのは、とても心配なことですよね。
最近、そんなクリエイターたちを守るための「盾」となる技術が登場し、注目を集めていました。しかし、なんとその「盾」を破る「矛」のような技術が開発された、という少しショッキングなニュースが飛び込んできました。今回は、このAIをめぐる攻防戦について、誰にでも分かるようにやさしく解説していきますね!
そもそも、AIからイラストを守る「盾」って何?
まず、話の前提となる「盾」の技術について簡単におさらいしましょう。
MidjourneyやStable Diffusionといった画像生成AIは、インターネット上にある膨大な数の画像を「学習」することで、様々な絵を描けるようになります。このとき、アーティストの独自の画風や作品を、許可なく学習データとして使ってしまうことが問題視されていました。
そこで開発されたのが、「Glaze」や「Nightshade」といった防御ツールです。これらは、クリエイターが自分の作品に「見えないお守り」をかけるようなもの。具体的には、以下のような仕組みです。
- 人間の目にはほとんど分からない、ごくわずかな「ノイズ(情報の揺らぎ)」を画像に加える。
- AIがこの画像を学習しようとすると、ノイズがAIを混乱させる。
- 結果として、AIは画風を正しく真似できなくなったり、まったく違うものを学習してしまったりする。
この技術は「データポイズニング(Data Poisoning)」、日本語で言うと「データの毒入れ」のようなものです。AIにとってだけ「お腹を壊す」毒を仕込んでおく、というイメージですね。これにより、クリエイターは自分の作品を無断学習から守ることができると期待されていました。
最新研究で発見された「矛」:毒を無害化する技術
クリエイターにとって希望の光だったこの「盾」。しかし、今回、アメリカのコンピューター科学者たちの研究チームが、この防御を無効化する方法を発見したと発表しました。
彼らが開発したのは、まさに「解毒」技術。研究者たちは、Glazeなどで保護された画像から、AIを混乱させる原因となっている「ノイズ」をきれいに取り除く方法を見つけ出したのです。記事ではこの技術を「データデトックス(Data Detox)」と呼んでいます。
これは、料理に入れられた「毒」を、特殊なフィルターで濾し取ってしまうようなもの。毒を取り除かれた画像は、再びAIが問題なく学習できる「おいしい」データに戻ってしまいます。
つまり、「盾」の効果をなくしてしまう「矛」が登場した、というわけです。これにより、せっかく保護したはずの作品が、また無断学習の対象にされてしまう可能性が出てきました。
クリエイターはどうすれば?終わらない「いたちごっこ」
このニュースは、保護ツールに期待を寄せていたクリエイターの方々にとっては、がっかりする内容かもしれません。しかし、これで全てが終わりというわけではありません。
このような技術の攻防は、まさに「いたちごっこ」です。
防御側(クリエイターを守るツール開発者)
→ 今回の方法では取り除けない、もっと強力で巧妙な「新しい毒」を開発するでしょう。
攻撃側(防御を破ろうとする研究者や開発者)
→ 新しい毒が見つかれば、それをまた無効化する「新しい解毒薬」を探し始めるでしょう。
この競争は、今後も続いていく可能性が高いです。また、この問題は技術だけで解決できるものではなく、AI開発の倫理や、クリエイターの権利を守るための法律・ルール作りといった、社会全体での議論がますます重要になってくることを示しています。
筆者(ジョン)のひとこと
今回のニュースは、AI技術の進化の速さと、それに伴う課題の複雑さを改めて感じさせますね。クリエイターが安心して創作活動に打ち込める環境と、技術の健全な発展が両立できるような、賢い解決策が見つかることを心から願っています。技術の競争だけでなく、お互いを尊重する文化が育っていくといいなと思います。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
Tech to protect images against AI scrapers can be beaten,
researchers show