【専門家が解説】つらい坐骨神経痛、お家でできる5つの対処法
「なんだかお尻から足にかけて、ピリッとした痛みが走る…」「長時間座っていると、足がしびれてくる…」そんな経験はありませんか?もしかしたら、それは坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)かもしれません。
坐骨神経痛は、病気の名前ではなく、何らかの原因で「坐骨神経」という神経が圧迫されることで起こる症状のことです。坐骨神経は、腰からお尻を通り、足先まで伸びている、体の中で最も長くて太い神経なんですよ。
今回は、このつらい痛みを和らげるために、作業療法士(日常生活の動作をサポートするリハビリの専門家)がおすすめする、自宅でできる5つの簡単な方法をご紹介します。
1. やさしいストレッチと運動を試してみる
痛いからといって、じっと動かないでいるのは逆効果になることも。軽い運動やストレッチは、凝り固まった筋肉をほぐし、神経への圧迫を和らげるのに役立ちます。
- 膝を胸に引き寄せるストレッチ:仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱え、ゆっくりと胸に引き寄せます。痛気持ちいいところで20〜30秒キープしましょう。反対側も同様に行います。
- ウォーキング:近所を少し歩くだけでも、全身の血行が良くなり、痛みの緩和につながります。
ポイント:絶対に無理はしないでください。痛みが増すような動きはすぐに中止し、「気持ちいい」と感じる範囲で行うことが大切です。
2. 温める?それとも冷やす?
温湿布と冷湿布、どちらを使えばいいか迷いますよね。実は、痛みの種類によって使い分けるのが効果的です。
- 冷やす(冷却療法):痛み出したばかりの急な、ズキズキするような痛みには、冷やすのがおすすめです。炎症(えんしょう)、つまり痛みの原因となっている部分の「火事」を鎮める効果があります。タオルで包んだ保冷剤などを15分ほど当ててみましょう。
- 温める(温熱療法):長引く鈍い痛みや、筋肉のこわばりには、温めるのが効果的です。血行を促進し、筋肉の緊張を和らげてくれます。お風呂でゆっくり温まったり、蒸しタオルやカイロを使ったりするのも良いでしょう。
3. 正しい姿勢を意識する
普段の何気ない姿勢が、坐骨神経に負担をかけている可能性があります。特に、デスクワークなどで長時間座っている方は要注意です。
- 座るとき:深く腰かけ、背もたれにしっかり背中をつけましょう。足の裏全体が床につくように椅子の高さを調整し、膝が股関節より少し高くなるのが理想です。お尻の下に丸めたタオルを置くのも、負担軽減に役立ちます。
- 立つとき・歩くとき:猫背にならないよう、背筋をすっと伸ばすことを意識しましょう。
- 物を持ち上げるとき:腰を曲げて持ち上げるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、体に荷物を引き寄せてから持ち上げるようにしましょう。
これらの小さな意識が、腰への負担を大きく減らしてくれます。
4. 自分の体の「痛みのサイン」を知る
どんなときに痛みが強くなるか、自分の体の声に耳を傾けてみましょう。
「この椅子に座ると痛くなるな」「長時間運転した後は特にひどいかも…」など、痛みの引き金(トリガー)になる行動や状況を特定できれば、それを避けるための対策ができます。
例えば、長時間座る必要がある場合は、30分に一度は立ち上がって少し歩き回るなど、生活の中にこまめな休憩を取り入れるのがおすすめです。
5. 痛みがつらいときは市販薬も選択肢に
痛みがひどくて日常生活に支障が出る場合は、市販の痛み止めを一時的に使用することも一つの方法です。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる種類の薬(炎症と痛みを抑えるお薬です)は、坐骨神経痛の症状緩和に役立つことがあります。
ただし、薬には副作用のリスクもありますし、根本的な解決にはなりません。使用する際は、必ず薬剤師に相談したり、説明書をよく読んだりしてください。長期間の使用は避け、痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。
こんなときは病院へ!専門家の助けが必要なサイン
セルフケアを試しても改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、自己判断せず、必ず医師の診察を受けてください。
- 痛みがどんどん悪化する、または耐えがたいほど強い
- 足に力が入らない、感覚が麻痺している
- 排尿や排便のコントロールができない(これは緊急を要するサインです!)
- 転倒などのケガの後に痛みが始まった
これらの症状は、より深刻な問題が隠れている可能性を示しています。早めに専門家に見てもらうことが大切です。
筆者より
坐骨神経痛のピリッとした痛みは、経験した人にしか分からないつらさがありますよね。でも、今回ご紹介したように、日常生活の中での少しの工夫で、痛みを和らげる手助けができるかもしれません。無理せず、自分の体とよく相談しながら、できることから一つずつ試してみてくださいね。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
5 Ways To Manage Sciatica Pain, From An Occupational
Therapist