AIって本当にお金になるの? 投資の成果(ROI)を測るのが難しいワケ
こんにちは、AI技術について分かりやすく解説するブログライターのジョンです。
最近、ニュースや職場などで「生成AI」という言葉を耳にする機会が本当に増えましたよね。多くの企業が「うちもAIを導入しなきゃ!」と意気込んでいます。でも、経営者や上司は必ずこう考えます。「そのAIに投資して、ちゃんと元は取れるの?」と。
この「投資したお金に対して、どれだけの利益が返ってくるか」を示す指標を「ROI(アールオーアイ/投資対効果)」と呼びます。しかし、実はこのAIのROIを測るのが、ものすごく難しいと言われているんです。今回は、その理由を一緒に見ていきましょう。
AIの「投資対効果」を測るのが難しい3つの理由
なぜ、AIが生み出す価値を金額でハッキリ示すのは難しいのでしょうか。それには、主に3つの理由があります。
理由1:AIは「土台」となる技術だから
AIは、それ単体で何かを完結させる製品というよりは、電気やインターネットのように、他の様々なことを可能にする「土台(基盤技術)」です。
例えば、AIが記事の素晴らしい見出しを考えてくれたとします。その結果、記事がたくさん読まれて、新しい購読者が増えたかもしれません。でも、本当にそれはAIだけの力でしょうか? 記事自体の内容が良かったからかもしれませんし、SNSでの宣伝がうまくいったからかもしれません。
このように、AIの貢献は他の要素と複雑に絡み合っているため、「ここからここまでがAIのおかげ!」と明確に切り分けるのがとても難しいのです。
理由2:効果が「間接的」なことが多いから
AI導入のメリットは、売上が増えたりコストが減ったりといった、直接的なお金の話だけではありません。むしろ、目に見えにくい「間接的な効果」がたくさんあります。
- ジャーナリストや社員が単純作業から解放され、作業時間を節約できる
- AIのサポートで、コンテンツ全体の質が向上する
- 新しい技術に触れることで、社員のやる気や満足度が上がる
- 社内に「新しいことに挑戦しよう」という文化が育つ
これらは会社にとって非常に価値のあることですが、「社員の満足度が上がったから〇〇円の利益!」というように、すぐにお金に換算するのは困難ですよね。
理由3:まだ「実験段階」の技術だから
現在、多くの企業が行っているAIプロジェクトは、本格的な導入というよりは「PoC(概念実証)」と呼ばれる実験段階のものです。(PoCとは、本格的に導入する前に、そのアイデアが本当にうまくいくか小さく試してみることです)
これは、企業の「研究開発(R&D)」活動に似ています。研究開発の目的は、すぐにお金を稼ぐことではなく、新しい知識を得たり、将来の可能性を探ったりすることです。AIへの投資も同じで、今は「AIで何ができるのかを学ぶ」ためのコストと考える側面が強いのです。
じゃあ、どう考えればいいの?
「じゃあ、AIの価値は測れないの?」と思ってしまいますよね。そこで元記事が提案しているのが、ROIという一つのものさしだけで測るのをやめて、「指標のポートフォリオ」で多角的に見ることです。(ポートフォリオとは、ここでは「色々な種類の指標を組み合わせたもの」くらいの意味です)
具体的には、以下の3つの視点で見ていくのが良いとされています。
- 活動指標:そもそもAIを使っているか?(例:AIを使って作成した記事の数、AIツールの利用者数など)
- 生産性指標:仕事の効率は上がったか?(例:記事1本あたりの作成時間の短縮率、手作業の削減量など)
- ビジネス成果指標:最終的に会社の利益につながったか?(例:サイトの閲覧者数や購読者数の増加、解約率の低下など)
「活動指標」は測りやすいですが、それだけでは価値は分かりません。「ビジネス成果指標」が最終ゴールですが、AIとの直接のつながりを証明するのは難しい。だからこそ、これら3つをバランスよく見ることで、AIの本当の価値を立体的に捉えよう、というわけです。
筆者の視点から
この記事を読んで、新しい技術への投資は「木を植えること」に似ているなと感じました。今日植えて、明日すぐに果物が実るわけではありません。水をやり(投資し)、育て、成長を見守る時間が必要です。AIの価値も、目先の利益だけでなく、未来の可能性をどれだけ広げてくれるか、という長期的な視点で考えることが大切なのかもしれませんね。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
ROI and AI: Why is this so hard?