え、私たちは「今」を生きていない?脳科学者が教える、時間の不思議な真実
こんにちは!お金と健康について分かりやすくお伝えする、あなたのファイナンシャル・ヘルスプランナー、ジョンです。
「今を生きなさい」「マインドフルネスが大切」なんて言葉、一度は聞いたことがありますよね。目の前のことに集中することで、ストレスが減ったり、幸せを感じやすくなったりする、という考え方です。でも、もし「そもそも人間は、本当の意味で『今』を生きることはできないんですよ」と言われたら、どう思いますか?
今回は、ある脳科学者が教えてくれる、私たちの脳と時間のちょっと意外な関係について、一緒に見ていきましょう。この話を知ると、「今」という瞬間の見方が少し変わるかもしれませんよ。
私たちの脳は、いつも「0.5秒過去」を生きている
いきなり驚きの事実ですが、神経科学者のモラン・サーフ博士によると、私たちの意識は常に現実から少しだけ遅れているのだそうです。具体的には、約0.5秒のタイムラグがあると言われています。
これは一体どういうことでしょうか?
例えば、あなたが飛んでくるボールを目で見たとします。そのプロセスを分解すると、こんな感じです。
- ① ボールが光を反射し、その情報があなたの目(網膜)に届く。
- ② 目の神経が、その情報を電気信号に変えて脳に送る。
- ③ 脳がその信号を受け取り、「これはボールだ」「こっちに飛んでくる」と解釈する。
- ④ ここで初めて、あなたは「ボールが飛んできた」と意識する。
この①から④までの流れには、ほんのわずかですが時間がかかります。これが約0.5秒の遅れを生む原因です。つまり、あなたが「今だ!」と感じている瞬間は、厳密に言えば0.5秒前にすでに起こった出来事なのです。
まるで、インターネットの動画配信で、映像が音声より少しだけ遅れて表示されるようなものですね。私たちの脳は、常に現実という「ライブ配信」に少しだけ遅れて追いついている、と考えると分かりやすいかもしれません。
遅れているだけじゃない!脳は「未来」も予測している
「じゃあ、私たちの意識はずっと過去に取り残されているの?」と思うかもしれませんが、話はもう少し面白い方向に進みます。私たちの脳は、過去の情報を処理するだけでなく、それを元にして常に「次は何が起こるか」を予測しているのです。
これは、私たちが生きていく上で非常に重要な能力です。
例えば、テーブルの端に置かれたコップがぐらっと傾いたとしましょう。もし脳が0.5秒遅れているだけなら、私たちはコップが床に落ちて割れるのを見てから「あ、落ちた」と認識することになります。これでは、手遅れですよね。
しかし、私たちの脳は「コップが傾いた」という過去のデータと、「物が傾けば重力で下に落ちる」という経験則から、「このままだとコップが落ちて割れる!」と瞬時に未来を予測します。そして、その予測に基づいて「手を伸ばしてキャッチしろ!」という指令を出すのです。だから私たちは、コップが落ちきる前にパッと手を出して掴むことができるわけです。
つまり、私たちの脳は、
(1)少し前の過去の情報を処理しつつ、
(2)その情報を使って未来を予測する
という、二つのことを同時に行っている、非常に高性能なシステムなのです。
結局、私たちが感じている「今」の正体とは?
ここまでをまとめると、私たちが「今、この瞬間」として体験しているのは、実はとてもユニークな状態だと言えます。
私たちが感じる「今」 = 少し過去(約0.5秒前)の現実 + 脳による未来の予測
この二つがブレンドされて、私たちの「現在の意識」が作られているのです。なんだか不思議な感じがしますね。でも、これは脳の欠陥ではなく、むしろ変化の激しい世界で私たちが生き延びるための、驚くべき適応能力なんです。
この事実を知ると、「今を生きる」という言葉の意味も少し違って見えてきませんか?
マインドフルネスや瞑想で言われる「今に集中する」とは、物理的に不可能な「0.001秒の現在」を捉えようとすることではありません。そうではなく、過去の後悔や未来への不安にあちこち飛んでいってしまう意識を、脳が作り出してくれている「今、ここ」の感覚(見えているもの、聞こえている音、体の感覚など)に、優しく引き戻してあげること、と解釈できるのではないでしょうか。
筆者のひとこと
この話を知って、なんだか心が軽くなった気がします。「ちゃんと今に集中しなきゃ!」と力むのではなく、「脳が少し遅れたり、先走ったりするのは当たり前なんだな」と思えると、少し楽になりますよね。大切なのは完璧を目指すことではなく、自分の意識がどこにあるかに気づいて、そっと現在に戻してあげる練習なのかもしれません。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
Apparently, You’re Never Really Living in the Present—A
Neuroscientist Explains