あなたの暗号資産(仮想通貨)取引、政府に丸見えに?知っておきたいプライバシーの話
こんにちは!テクノロジー解説ライターのジョンです。ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を使ったことがある方、またはこれから使ってみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。実は最近、アメリカで「私たちの暗号資産取引のプライバシーは大丈夫?」と心配になるような出来事がありました。今回は、少し難しい法律の話も、誰にでも分かるようにやさしく解説していきますね!
何が起こったの?アメリカでの重要な判断
話の舞台はアメリカです。アメリカには最高裁判所(アメリカで最も重要な判断を下す、一番偉い裁判所)があります。この最高裁判所が最近、「ハーパー対フォークンダー(Harper v. Faulkender)」という裁判について、「審理しない(内容を詳しく見直すことをしない)」という決定を下しました。
「何もしない」という決定が、なぜそんなに重要なのでしょうか?
実は、裁判所が「審理しない」と決めることは、「現状のルールや判断をそのまま認めます」という意味合いを持ちます。そして、この判断が、暗号資産を利用するすべての人のプライバシーに大きな影響を与える可能性が出てきたのです。
キーワードは「第三者主義の法理」
今回の件を理解するために、少し専門的な言葉ですが「第三者主義の法理(だいさんしゃしゅぎのほうり)」という考え方を知っておく必要があります。これはアメリカの法律の考え方の一つです。
簡単に言うと、「あなたが自分の情報を、自ら進んで第三者に渡した場合、その情報に対するプライバシーの権利は期待できませんよ」というルールです。
- 例えば銀行の場合:私たちが銀行にお金を預けると、取引の記録は銀行(第三者)が管理します。この法理に基づけば、政府は私たち本人に直接許可を取らなくても、銀行(第三者)に情報の開示を求めることができてしまうのです。
- 暗号資産の場合:今回の決定は、この考え方を暗号資産にも当てはめる流れを事実上認めたことになります。
暗号資産の取引は、ブロックチェーン(取引のすべてを記録する、インターネット上の公開台帳のようなもの)に記録されます。この公開されたブロックチェーンが「第三者」と見なされ、「そこに記録された取引情報は、プライバシーを強く主張できるものではない」と解釈される道を開いてしまったのです。
私たちのプライバシーへの影響は?
では、この判断によって具体的に何が起こるのでしょうか?元記事は、次のような影響を指摘しています。
政府や民間企業による「大規模な監視」が可能になる
この決定により、政府機関や、データを分析する民間企業が、特定の容疑者だけでなく、すべてのブロックチェーン上の取引を大規模に監視することが事実上、容認されることになります。つまり、特別な理由がなくても、誰もが監視の対象になり得るということです。
金融プライバシーと市民の自由が脅かされる
誰が、いつ、誰に、いくら送金したか。こうしたお金の動きは、個人のプライバシーの中でも特に重要な部分です。この「お金に関するプライバシー(金融プライバシー)」が失われる恐れがあります。さらに、自分のお金の使い道を常に誰かに見られているかもしれないという状況は、自由な活動を萎縮させることにもつながりかねません。これは「市民の自由」を脅かす問題でもあるのです。
この影響を受けるのは、何か悪いことをしている人だけではありません。記事が指摘するように、ごく普通の一般利用者(ordinary users)全員に関わる話なのです。
筆者の一言
暗号資産は、新しい技術としてプライバシーを守る側面も期待されていました。しかし、今回の出来事は、既存の法律が新しい技術にどう適用されるかを示す、非常に興味深い事例だと思います。テクノロジーが進化する中で、私たちのプライバシーや自由をどう守っていくか、社会全体で考えていく必要があると改めて感じさせられました。
この記事は、以下の元記事をもとに筆者の視点でまとめたものです:
Vikrant Sharma: Third-Party Doctrine Opens Crypto to
Unchecked Financial Surveillance